LTspiceでTL431

テキサスインスツルメンツが公開しているTL431のSPICEモデルは、回路的に不適切なコンデンサを接続したとしても、発振に至る様をシミュレーションしてくれません。
そこで、TL431の等価回路からSPICEモデルを作り、不適切な値のコンデンサを接続した場合に発振に至るシミュレーションをLTspiceを用いて行いました。

003_20091127142014.png 004_20091127142014.png


TL431の発振


TL431は負荷のキャパシタンスによって発振しやすい回路です。
fig.1は、テキサスインスツルメンツのTL431データシートから引用した負荷と発振に対する安定な領域を図示したグラフです。


002_20091122054237.png
fig.1: 負荷と発振に対する安定領域


2009年12月号のトランジスタ技術には、TL431を発振させずに使うための回路についての問題が載っていました。参考:「詰め回路:TL431」を解く

テキサスインスツルメンツのTL431のSPICEモデル


簡単に回路の発振に対する安定性を検討するために、回路シミュレータが利用されます。しかし、TL431のSPICEモデルは位相の回転まではモデル化されておらず、実回路では発振する回路でもシミュレータ上では発振しないようです。参考:シミュレータでは発振しない TL431 LC 発振回路 - 実回路は TL431 で位相が回ってしまったらしい

等価回路からSPICEモデル作成


そこで、発振に対する安定性を議論するために等価回路図からSPICEモデルを作成します。
と言っても難しい話ではなく、TL431データシートの等価回路をそのままLTspiceのスケマティックにするだけで、トランジスタやダイオードもLTspice標準のものを使いました。


002_20091127141959.png
fig.2: TL431データシートの等価回路図


構成要素は大雑把に言って「バンドギャップ基準電圧」「差動増幅回路」「ダーリントントランジスタ」です。

シミュレーション結果


fig.3-4にLTspiceでのシミュレーション結果を示します。
負荷容量は確実に発振に至るであろう0.1uFとしました。


003_20091127142014.png
fig.3: 過渡解析のスケマティック

004_20091127142014.png
fig.4: 発振している出力波形


以下に示すfig.5-6は、負荷容量の値をパラメータスイープしたシミュレーション結果です。横軸は時間を、R11とC3の時定数で規格化したものです。


005_20091127141959.png
fig.5: 過渡解析のスケマティック

006_20091127141959.png
fig.6: 負荷容量の値によって発振の有無が変化する


負荷容量の値によって発振するかしないかが変化することがわかります。

TIのモデルとの使い分け


本エントリのSPICEモデルは、トランジスタの選択がいい加減であるため、正常動作時でも出力電圧が2.5Vよりも低めに出ます。また、発振に対する安定領域も実際のTL431と正確に一致するわけではありません。したがって、大雑把な傾向をつかむための利用にはよいかと思いますが、回路定数を決定するために使うようなことはできないと思います。

特に出力電圧が2.5V程度であることが重要な用途では、TIのモデルを利用するほうがよいです。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。


参考文献




フィードバック



にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ

 ↑ 電子工作ブログランキング参加中です。1クリックお願いします。


コメント・トラックバックも歓迎です。 ↓      


 ↓ この記事が面白かった方は「拍手」をお願いします。

tag: LTspice TL431 パラメトリック解析 

「詰め回路:TL431」を解く

トランジスタ技術2009年12月号に、「詰め回路①3端子基準電圧源TL431を発振させずに使う」と言う記事が載っています。これはトラ技の新しい連載で、今月号で出した問題の答えを来月号に載せるというもののようです。
今回のテーマは、タイトルのとおりTL431を発振させないようにするためには、出力と並列に入れるコンデンサの容量をいくつにすればよいかと言う問題です。


001_20091122054237.png
fig.1: 詰め回路の問題


ちょっと難しかったので、私なりに解いてみたものをエントリとしてまとめます。
(別にこのエントリに限った話ではありませんが、)間違っているかもしれません。まだ自分で考えたい、と思っている方はこれ以降を読まないでください。

more...

tag: トランジスタ技術 詰め回路 TL431 LTspice パラメトリック解析 ナイキスト線図 負帰還安定性 

NE555でのこぎり波

タイマICとして有名なNE555の応用回路のほとんどは、CRの時定数を利用した発振回路です。
CRの時定数を用いる方法は、電源電圧に依存せずCとRの値だけで周波数を決定できる利点があります。

このときの充電波形は、少し膨らんだ擬似のこぎり波(広義ののこぎり波)になります。こういった擬似のこぎり波はPMWコンパレータの比較入力などに利用されますが、このとき膨らみに起因する入力と出力の対応の非線形性が問題になる場合があります。

そこで、今回はトランジスタ技術2005年3月号のトラ技サーキット・ライブラリから「タイマIC LM555を使ったのこぎり波発生回路」を紹介します。

001_20081123203309.png 002_20081123203315.png



以下に示すのが、555をつかった狭義ののこぎり波発生回路です。


001_20081123203309.png
fig.1

002_20081123203315.png
fig.2


カレントミラーで構成された定電流回路でC2へ充電を行っています。しかしながら、この定電流回路を使っているため、発振周波数は電源電圧に依存します。


003_20081123203322.png
fig.3

004_20081123203328.png
fig.4


電源電圧を5Vから12Vまでスイープしてみたところです。
発振周波数を微調整するためには、VCCを安定化した上でR3を可変抵抗とすれば良いでしょう。


005_20081123203333.png
fig.5

006_20081123203339.png
fig.6


2SA1015のモデルは、数理研究所SPICE MODEL LIBRARYの物を利用させていただきました。

○付録
LTspiceのスケマティックとプロット設定ファイルを添付します。拡張子を変更して使ってみてください。

saw555.asc
saw555.plt

tag: LTspice NE555 LM555 カレントミラー 定電流 ノコギリ波 パラメトリック解析 

RCサーボコントローラ

RCサーボモータについてのエントリでは、RCサーボの個体差や機械的制約を吸収できるように、コントローラで調節できるようにするとよいということを書きました。
一例として、以前人力飛行機の操縦システムとして採用していた物を紹介します。実際に使っていたものはPICマイコンを用いたデジタル制御なのですが、今回はOPアンプと555をもちいたアナログ回路としてみました。


以下が回路図です。


001_20081103013228.png


アルゴリズムを式で表すと

[サーボ指示値]=[ゲイン]×([ハンドル]-[ハンドル初期値])+[サーボ初期位置]

となります。
これらの各パラメータと周波数を、それぞれ対応する半固定抵抗つかって調整することができます。

次にLTspiceでのシミュレーションを示します。抵抗のパラメータが少し異なってますが・・・(現実はシミュレーション通りには行かないこともあるということで勘弁してください。)


002_20081103013312.png

003_20081103013335.png



ハンドルのボリュームを変化させたときの各ノードの挙動を見るため、ハンドルを最小から最大まで2.5kΩステップでスイープさせたTran解析を行いました。グラフ中の黄緑で表されたパルス幅が変化しているのが読み取れます。付録としてこのシミュレーションのスケマティックを載せておきました。

今回は、面白がってアナログ回路で組んで見ましたが、半固定抵抗を多用していることもあり、信頼性においてマイコンを使ったデジタル制御のものよりも劣ります。というか普通はマイコンで作りますよね。

○付録
実際に作成した回路の外観です。


004.jpg

005.jpg


本エントリで使用した、LTspiceシミュレーションのスケマティックを載せておきます。

controller.asc
Version 4
SHEET 1 880 900
WIRE -640 -320 -736 -320
WIRE 336 -320 336 -352
WIRE -848 -304 -928 -304
WIRE -800 -304 -848 -304
WIRE -32 -304 -96 -304
WIRE 256 -304 192 -304
WIRE -96 -272 -96 -304
WIRE -32 -240 -96 -240
WIRE 336 -240 192 -240
WIRE -848 -176 -848 -304
WIRE -784 -176 -848 -176
WIRE -640 -176 -640 -320
WIRE -640 -176 -704 -176
WIRE -608 -176 -640 -176
WIRE -480 -176 -528 -176
WIRE -432 -176 -480 -176
WIRE -304 -176 -352 -176
WIRE -32 -176 -128 -176
WIRE 272 -176 192 -176
WIRE 336 -176 336 -240
WIRE 336 -176 272 -176
WIRE 336 -160 336 -176
WIRE -928 -144 -928 -304
WIRE -32 -112 -128 -112
WIRE 272 -112 192 -112
WIRE 336 -48 336 -96
WIRE -480 -32 -480 -176
WIRE -432 -32 -480 -32
WIRE -304 -16 -304 -176
WIRE -304 -16 -368 -16
WIRE 272 -16 272 -112
WIRE 272 -16 -304 -16
WIRE -928 0 -928 -64
WIRE -432 0 -480 0
WIRE -800 112 -848 112
WIRE -640 112 -720 112
WIRE -608 112 -640 112
WIRE -480 112 -480 0
WIRE -480 112 -528 112
WIRE -432 112 -480 112
WIRE -304 112 -352 112
WIRE 368 144 368 112
WIRE -32 176 -160 176
WIRE 272 176 272 112
WIRE 272 176 192 176
WIRE -304 224 -304 112
WIRE -304 224 -480 224
WIRE -160 224 -160 176
WIRE -928 240 -928 80
WIRE -848 240 -848 112
WIRE -848 240 -928 240
WIRE -800 240 -848 240
WIRE -32 240 -112 240
WIRE 368 240 368 224
WIRE 368 240 192 240
WIRE -640 256 -640 112
WIRE -640 256 -736 256
WIRE 368 256 368 240
WIRE -112 272 -112 240
WIRE 272 272 -112 272
WIRE -96 304 -96 -240
WIRE -32 304 -96 304
WIRE 272 304 272 272
WIRE 272 304 192 304
WIRE -480 320 -480 224
WIRE -416 320 -480 320
WIRE -304 336 -304 224
WIRE -304 336 -352 336
WIRE 272 336 272 304
WIRE 368 336 272 336
WIRE 368 352 368 336
WIRE -32 368 -96 368
WIRE 368 448 368 416
WIRE -928 496 -928 464
WIRE -640 496 -640 464
WIRE -368 496 -368 464
WIRE -928 608 -928 576
WIRE -800 608 -928 608
WIRE -640 608 -640 576
WIRE -528 608 -640 608
WIRE -368 608 -368 576
WIRE -240 608 -368 608
WIRE 0 608 0 560
WIRE -928 640 -928 608
WIRE -640 640 -640 608
WIRE -368 640 -368 608
WIRE 0 720 0 688
WIRE -928 752 -928 720
WIRE -640 752 -640 720
WIRE -368 752 -368 720
FLAG 0 720 0
FLAG 0 560 VCC
FLAG 368 112 VCC
FLAG 272 112 VCC
FLAG -96 368 VCC
FLAG 368 448 0
FLAG -160 224 0
FLAG 256 -304 VCC
FLAG -128 -112 VCC
FLAG 336 -352 VCC
FLAG 336 -48 0
FLAG -96 -272 0
FLAG -128 -176 Output
IOPIN -128 -176 Out
FLAG -928 752 0
FLAG -640 752 0
FLAG -368 752 0
FLAG -240 608 PGND
FLAG -416 352 PGND
FLAG -800 608 HANDLE
FLAG -528 608 NEUTRAL
FLAG -800 -336 NEUTRAL
FLAG -800 272 HANDLE
FLAG -928 464 VCC
FLAG -640 464 VCC
FLAG -368 464 VCC
FLAG 272 -112 CTRL
FLAG 272 -176 THRS
SYMBOL Misc\\NE555 80 272 R0
SYMATTR InstName U1
SYMBOL res 352 128 R0
SYMATTR InstName R1
SYMATTR Value 277k
SYMBOL res 352 240 R0
SYMATTR InstName R2
SYMATTR Value 4.7k
SYMBOL voltage 0 592 R0
WINDOW 123 0 0 Left 0
WINDOW 39 0 0 Left 0
SYMATTR InstName V1
SYMATTR Value 6V
SYMBOL cap 352 352 R0
SYMATTR InstName C1
SYMATTR Value 0.1u
SYMBOL Misc\\NE555 80 -208 R0
SYMATTR InstName U2
SYMBOL res 320 -336 R0
SYMATTR InstName R3
SYMATTR Value 22k
SYMBOL cap 320 -160 R0
SYMATTR InstName C2
SYMATTR Value 0.1u
SYMBOL res -336 -192 R90
WINDOW 0 5 56 VBottom 0
WINDOW 3 27 56 VTop 0
SYMATTR InstName R4
SYMATTR Value 10k
SYMBOL res -512 -192 R90
WINDOW 0 5 56 VBottom 0
WINDOW 3 27 56 VTop 0
SYMATTR InstName R5
SYMATTR Value 22k
SYMBOL res -336 96 R90
WINDOW 0 5 56 VBottom 0
WINDOW 3 27 56 VTop 0
SYMATTR InstName R6
SYMATTR Value 10k
SYMBOL res -512 96 R90
WINDOW 0 5 56 VBottom 0
WINDOW 3 27 56 VTop 0
SYMATTR InstName R7
SYMATTR Value 22k
SYMBOL res -688 -192 R90
WINDOW 0 5 56 VBottom 0
WINDOW 3 27 56 VTop 0
SYMATTR InstName R8
SYMATTR Value 7.5k
SYMBOL res -704 96 R90
WINDOW 0 5 56 VBottom 0
WINDOW 3 27 56 VTop 0
SYMATTR InstName R9
SYMATTR Value 7.5k
SYMBOL res -944 -160 R0
SYMATTR InstName R10
SYMATTR Value 15k
SYMBOL res -944 -16 R0
SYMATTR InstName R11
SYMATTR Value 50k
SYMBOL res -944 624 R0
SYMATTR InstName R12
SYMATTR Value {R}
SYMBOL res -944 480 R0
SYMATTR InstName R13
SYMATTR Value {25k-R}
SYMBOL res -656 624 R0
SYMATTR InstName R14
SYMATTR Value 12.5k
SYMBOL res -656 480 R0
SYMATTR InstName R15
SYMATTR Value 12.5k
SYMBOL res -384 624 R0
SYMATTR InstName R16
SYMATTR Value 11.5k
SYMBOL res -384 480 R0
SYMATTR InstName R17
SYMATTR Value 13.5k
SYMBOL Opamps\\opamp -400 -80 R0
SYMATTR InstName U3
SYMBOL Opamps\\opamp -384 272 R0
SYMATTR InstName U4
SYMBOL Opamps\\opamp -768 -256 M180
SYMATTR InstName U5
SYMBOL Opamps\\opamp -768 192 R0
SYMATTR InstName U6
TEXT 120 544 Left 0 !.tran 0 50ms 15ms
TEXT 120 576 Left 0 !.lib opamp.sub
TEXT 120 608 Left 0 !.step param R list 7.5k 10k 12.5k 15k 17.5k

tag: サーボ LTspice パラメトリック解析 

FC2カウンター
カテゴリ
ユーザータグ

LTspiceAkaiKKRmachikaneyamaScilabKKRPSoCOPアンプPICCPA強磁性常微分方程式モンテカルロ解析odeトランジスタ状態密度インターフェーススイッチング回路ecaljPDS5022DOS定電流半導体シェルスクリプト乱数レベルシフトHP6632Aブレッドボード分散関係温度解析R6452Aトランジスタ技術I2C可変抵抗反強磁性セミナー数値積分確率論偏微分方程式バンド構造非線形方程式ソルババンドギャップ絶縁熱設計シュミットトリガLEDA/Dコンバータ三端子レギュレータLM358ISO-I2CGW近似カオスフォトカプラマフィンティン半径TL431数値微分PC817Cアナログスイッチ直流動作点解析発振回路USBサーボカレントミラー74HC4053パラメトリック解析LDAbzqltyチョッパアンプ量子力学FFT2ちゃんねるアセンブラBSch開発環境電子負荷ブラべ格子イジング模型補間基本並進ベクトル標準ロジック単振り子キュリー温度繰り返しMaxima状態方程式失敗談相対論スピン軌道相互作用FETランダムウォーク熱伝導六方最密充填構造コバルトewidthTLP621GGAQSGW不規則合金位相図抵抗SMPcygwinラプラス方程式スレーターポーリング曲線gfortranスイッチト・キャパシタ詰め回路TLP552三角波格子比熱TLP521条件分岐LM555MCUNE555QNAPマントルテスタ過渡解析FXA-7020ZRダイヤモンドデータロガーガイガー管自動計測Writer509UPSシュレディンガー方程式ブラウン運動awk差し込みグラフ熱力学平均場近似仮想結晶近似VCAfsolve井戸型ポテンシャルVESTA起電力スーパーセルOpenMP第一原理計算ubuntu固有値問題L10構造OPA2277interp12SC1815fccウィグナーザイツ胞面心立方構造フィルタジバニャン方程式ヒストグラム確率論マテリアルデザインspecx.f等高線正規分布PGAフェルミ面非線型方程式ソルバ初期値固定スピンモーメントスワップ領域ルチル構造リジッドバンド模型edeltquantumESPRESSO岩塩構造BaOSIC二相共存ZnOウルツ鉱構造フォノンデバイ模型c/aノコギリ波全エネルギーFSMTeXgnuplotmultiplotハーフメタルCapSense半金属合金結晶磁気異方性Ubuntu文字列入出力TS-110TS-112疎行列Excel直流解析ヒストグラム円周率不規則局所モーメントトラックボールPC等価回路モデルパラメータ・モデルキーボードRealforce三次元マンデルブロ集合フラクタル化学反応重積分縮退日本語最小二乗法関数フィッティングGimpMAS830LHiLAPW熱拡散方程式両対数グラフナイキスト線図負帰還安定性陰解法Crank-Nicolson法P-10クーロン散乱境界条件連立一次方程式片対数グラフEAGLEPIC16F785LMC662トランスシンボルCK1026線種凡例MBEAACircuitグラフの分割軸ラベルifort

最新コメント
リンク

にほんブログ村 その他趣味ブログ 電子工作へ