LTspiceで直流解析(DC解析)

アマチュア電子工作でLTspiceを使う場合、「過渡解析(Tran解析)」「直流解析(DC解析)」「交流小信号解析(AC解析)」の3種類のシミュレーションが最もよく使われます。

今回取り上げる直流解析(DC解析)は、電圧や電流をゆっくり変化させたときの回路の挙動を調べるものです。
直感的に言えば、横軸に電圧や電流をとったグラフを書くのが直流解析だと考えればだいたいあってます。現実の回路で言うなら、DC電源とデジタルマルチメータを使う類の計測です。

具体的には、

などのシミュレーションができます。

このエントリの前半は、LTspiceを始めたばかりの初心者の方向けに、直流解析とはどういったものかを解説します。
後半では、すでにある程度LTspiceの直流解析を使ったことがある経験者の方向けに、単純な直流解析ではアプローチできない回路へのヒントとなる(かもしれない)エントリの紹介をしていきます。


基本的な分圧回路のシミュレーション


最初に、回路シミュレータを使うまでも無いような分圧回路についてのシミュレーションを行います。


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fig.1: 分圧回路


fig.1の回路の入力に電圧をかけると、二分の一に分圧された電圧が出力されることが予想され、シミュレーションでも確かにそのようになります。(fig.2)


002_20120513011214.png
fig.2: 分圧された結果


LTspiceでのシミュレーションが初めての方は、まずLTspiceクイック・スタートを実際にやってみてLTspiceの使い方に慣れてください。今回の例では、解析の種類の選択・設定の部分でEdit Simulation CommandウインドウでDC seepを選択します。fig.3は、変化させる電圧源としてV1を指定、電圧を0Vから1Vまで1mVずつ変化させていく設定とした場合です。


003_20120513011214.png
fig.3: 直流解析の設定


『ゆっくり変化させる』とは?


ここまででは、直流解析は電流や電圧をゆっくり変化させる事だと書いてきました。
ゆっくり変化させるというのは、ざっくりと言ってしまうと
  • コンデンサは開放
  • コイルは短絡
として扱う、ということです。

コンデンサには、直流は流れません。また、コイルは直流に対してはただの導線です。
実際にfig.4の様に、分圧回路の出力に10μFのコンデンサを接続した回路のシミュレーションをしてみると、その結果は、コンデンサを接続していないときの結果(fig.2)とまったく同じになることがわかります。


004_20120513011214.png
fig.4: 分圧回路に10μFのコンデンサを追加した回路


一方で、この回路を過渡解析してみると、コンデンサの影響が確認できます。


005_20120513011214.png006_20120513011213.png
fig.5-6: コンデンサを付加した分圧回路の過渡解析


直流解析の結果のように、出力電圧が入力電圧だけで決まるなら出力電圧V(out)は、緑の線で示したようなV(in)/2となるはずですが、シミュレーション結果は、赤の線で示したようになまった波形になります。

従って、過渡解析直流解析ではコイル・コンデンサは回路図に書く意味が無い事がわかります。(2014/05/29訂正)
逆に、コイル・コンデンサの効果をシミュレーションする場合は、直流解析は使えないと言うこともできます。この場合は、過渡解析(tran解析)や小信号交流解析(AC解析)を利用します。

シミュレーションの実例


直流解析の応用例として、ねがてぃぶろぐで以前行ったシミュレーションをいくつか紹介します。

半導体の直流特性


PDS5022Sでカーブトレーサ電気用語は難しい(オームの法則)では、汎用シリコンダイオードの電圧-電流特性のシミュレーションをしました。
以下は、電気用語は難しい(オームの法則)のものです。

002_20100306113832.png

003_20100306113832.png
fig.7-8:ダイオードのシミュレーション


順電圧(横軸)に応じて、順電流やダイオードの抵抗値が非線形に変化していることが読み取れます。(参考:1N4148のデータシート(PDF))

アナログICの直流特性


PICの電源電圧低下でLED点灯しきい値付近で線形増幅器になるコンパレータOPアンプの同相入力電圧範囲とバイアスでは、コンパレータやOPアンプの直流特性についてシミュレーションをしました。
以下は、PICの電源電圧低下でLED点灯で行ったシミュレーションで、電源電圧が低下するとコンパレータの出力がHとなる回路です。

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fig.9-10: 電源電圧低下の検出回路


fig.10の上のパネルがコンパレータの出力で、電源電圧が2.2Vを下回ると出力がHになるコンパレータ動作をしています。

直流解析(DC解析)できない回路


ここからは、一見すると直流解析でシミュレーションできそうな回路でありながら、直流解析ではうまくいかない回路を一工夫してシミュレーションする方法を紹介します。そのエッセンスは、過渡解析を使うことです。

ヒステリシスコンパレータ


直流解析を利用しない直流解析のひとつ目の例が、時間的に直前の状態を参照するヒステリシスコンパレータ(シュミットトリガ回路)です。
解析の設定のときにDC sweepStart ValueStop Valueの値を逆にすれば、2つのしきい値の値を別々に調べることはできます。しかしながら、2つのしきい値を同時に一つのグラフにプロットすることはできません。

過渡解析においても、横軸を任意のノード(回路図上の好きな場所)の電圧を横軸にとったグラフを書くことができます。(LTspiceのグラフの横軸を変更する)
これを利用して、ひとつのグラフに2つのしきい値を同時に描くことを考えます。


011_20120513011445.png
fig.11: ヒステリシスコンパレータ


まずfig.11の様に、解析したいヒステリシスコンパレータのスケマティックを作成します。このとき、変化させる入力電圧の部分にゆっくり電圧が上昇して、その後、ゆっくり電圧が下降するような信号源を接続します。今回の例では電圧源をPULSEとして使用して、0Vから1秒かけて5Vまで上昇し、その後、1秒かけて0Vまで戻る信号源としました。


012_20120513011444.png
fig.12: 通常の過渡解析の結果


この過渡解析の結果がfig.12です。この段階では、横軸は時間です。
この横軸の時間の部分をクリックすると、fig.13の様なウインドウが立ち上がります。


013_20120513011444.png

014_20120513011444.png

fig.13-14: 横軸のtime(時間)をV(in)(入力電圧)に書き換える


立ち上がったウインドウのQuantity Plottedの部分にかかれたtimeを、横軸にとりたいもの、今回はV(in)に書き換えると(fig.14)、希望したヒステリシス曲線を表示することができます。(fig.15)


015_20120513011444.png
fig.15: ヒステリシス曲線


なんとなく難しいことをやったような印象があるかもしれませんが、実のところ、ゆっくりと変化させるを過渡解析で行っただけです。従って注意点は、その回路にとって充分ゆっくり電圧を変化させることです。

ねがてぃぶろぐでは、シュミットトリガ回路に関するエントリがたくさんあります。



スイッチングを含む回路


スイッチングを含む回路でも直流解析のようなことを行いたい場合があります。
たとえばスイッチングレギュレータのロードレギュレーション等です。

ねがてぃぶろぐでは、チャージポンプ型電源のロードレギュレーションや効率(LTspiceでチャージポンプ負電源)、チョッパアンプの直流特性(汎用OPアンプをチョッピングで高精度化)のシミュレーションを行いました。

これらの場合も、重要な点は過渡解析を使うことですが、シュミットトリガ回路の場合ほど単純ではなく、さらに一捻りとして.measコマンド.stepコマンドを利用します。

以下に示すのは、LTspiceでチャージポンプ負電源にて行った出力電圧-電力変換効率のシミュレーション結果です。


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fig.16: 変換効率のシミュレーション用スケマティック

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fig.17: 出力電流に対する変換効率(%)


.measコマンド.stepコマンドの組み合わせはLTspiceで.meas(実効値,積分値など)にて解説しています。
この組み合わせのシミュレーションは、詰まるところ、スイッチングを含む回路の過渡解析を、条件を変えながら複数回行っているというものです。
スイッチング回路のシミュレーションは、時間がかかります。それをさらに複数回繰り返すということは、それ相応の時間がかかるということがこの方法の欠点です。したがって、ステップの刻み幅などはよく考える必要があります。

関連エントリ




参考URL




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




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tag: LTspice 直流解析 スイッチング回路 

1.5Vの電池1本でPICを動かす(2ちゃんねる PIC専用のスレ Part32 より)

2ちゃんねるPIC専用のスレ Part32より

318 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 14:02:26.38 ID:MKG18tp3
電池1本 1.5Vで余裕で動く(仕様で動作範囲内の)PICって、
ありますか?
320 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 17:24:11.82 ID:MKG18tp3
>>319
すみません、表現が悪かったでしょうか。
電源電圧が0.9V~3.3Vなど、1.5Vの電池1本でも動くPICって、あるでしょうか?
でした。説明が悪くてすみませんでした。


結論から言うと無いが答えになりますが、1.5Vの乾電池1本でマイコンを動かしたいという要求はよくあることだと思います。(参考:バッテリ動作のマイコン電源に関するメモ)
そういったときの考え方の参考になるかと思います。


根本的な問題:マイコンだけ動いてもしょうがない?


323 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 18:37:32.81 ID:v/hY0Uy0
そんなにDCコンバータ嫌か?
324 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 20:11:30.27 ID:4MONiu0r
ポケッタブルオーディオかラジオにでも入れるの?
325 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 21:30:14.96 ID:gx5jzKvF
PICは動いても、さらに何か動かすものはいいのか


ほとんどの人が意識していないようですが、PICはPeripheral Interface Controllerの頭文字をとったもので、読んで字のごとく周辺機器接続制御のためのICです。
マイコン用の電源問題は悩ましいですが、回路上にその他の回路が存在しているなら、その周辺機器の電源も賄えないと意味がありません。

後に示す>>327さんは『電池アラームのLEDを動かすにしても、PICが動いてくれないと点滅もできない。』と書いていますが、PICが動作したとしてもLEDのVFを供給できなければやはりLEDを点灯させることは出来ません。

素直に昇圧コンバータを用意するのが結局のところベストな方法なのだと思います。

電池の本数・電源電圧問題


327 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/23(水) 23:51:38.30 ID:MKG18tp3
>>323-325
電池2本(3V)で動かす機器を作ったとき、PICでは最低が2V(だったと思う)、
しかもADを使うと2.2V以上必要ですよね。
ところが、電池を終止まで使うと1.8Vくらいになりますよね。
だとすると、2VのPICは使えないと思うんです。
電池アラームのLEDを動かすにしても、PICが動いてくれないと点滅もできない。

そういう意味では、1.5V(min)のPICがあれば、問題解決なんですが。
電源電圧=1.5Vの上で、
・ADが動いて、
・clock=4MHzくらいも使えて、
・内蔵の32.768kHzも出来て、
・BORもできて、
・WDTもできて、
・UART内蔵で、
・PWMできて、
・Input captureもできて、
・Vref(1.23Vくらい)を内蔵してて、
・OP AMP(入出力レールtoレール)、コンパレータが入っていて、
・I2Cモジュールが入っていて、
・消費電流が50uAくらいで、
これらの機能が載っていて、DIP8とSOP8の形状のあるPICは 無いかしら、と思ったのです。


俗に言う「ぼくのかんがえたさいきょうのぴっく」。


001_20090805175828.png
fig.1: PIC12F683の動作可能電圧範囲


実際のPICマイコンは、最低でも2V以上必要で、消費電流も実測では1mA近く必要になるようです。(参考:PICマイコンのNOPとGOTOの消費電力)

他のマイコンを使うという選択肢


330 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/24(木) 00:13:52.90 ID:rADQeVaJ
>>327
テキサスのMSP430が低電圧・低消費電力をウリにしてたはず。

ま、俺なら>>323>>329だが。
>>323 そんなにDCコンバータ嫌か?
>>329 オレならうまいこと普通のを使う
334 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/24(木) 02:53:55.94 ID:f+QLUzqf
>>330
コレの事だよね

0.9ボルト「完全」駆動マイコン「MSP430L092」
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=262214&lindID=1


MSP430は、超低消費電力・超低電圧動作可能マイコンとして有名ですが、アマチュア電子工作ではそこまでの性能が要求されない為か、あまりメジャーではありません。

入門書籍もほとんど名前を聞きません。MSP430 リファレンス・ガイドも以前は書店で見かけましたが・・・



また、PSoCはSwithch-mode pumpという昇圧型スイッチングレギュレータの制御ICとしての機能を内蔵しています。(参考:PSoC/SMP効率測定,PSoC/SMP電流増強の考察)

こちらは、必要充分な入門書がそろっています。詳しくはPSoCマイコン入門書籍を。

PICでも昇圧


342 名前:774ワット発電中さん[sage]:2011/03/25(金) 01:34:57.61 ID:qUC6fDBK
PICを1.5Vで動かす話で、どっかのHP (どこか忘れた)に
起動時電池2本を使って、動き出したら電池1本に切り替えて動かす話が
あったのを思い出したので、手持ちの12F683で試してみた。

・動作内容 INTRC_IO 31kHzで1秒おきにGP0をON/OFF

起動した後電圧下げていくと、1.2Vぐらいで出力動作停止。
でも、内部発振は一旦動き出せば、1V以下でもねばってる。
PICが1.5Vで動かないのは、この内部発振の起動にある程度の電圧がいるためらしい。
そこで電源ラインに適当なコイルを入れて、電源ON時のスイッチのチャタリングで
一瞬過電圧かかるようにしたら電源1.4Vでも動かすことは出来た。
時々起動に失敗するが、その場合パスコンの電荷が抜けきるまで再起動出来ないっぽいので、
Vdd-Vssを適当な抵抗かまして電荷抜ける様にした方が良さそう。

まあ、そのうちPIC壊しそうなのでオススメはできんな。


一連のレスの中で一番興味が引かれたのが上記のものです。
着眼点は、マイコンの動作に高い電圧が必要なのは起動時のみであるという点です。

ただ、いずれにせよ動作周波数も最低で何の外部機器との接続も無い状態で、動作がギリギリだとすると実用性はなさそうですね。

関連エントリ




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tag: PSoC PIC スイッチング回路 2ちゃんねる 

反転DCDCを昇降圧DCDCのように使う

1.5Vの乾電池を直列にしてつかう場合、電池の本数と電源電圧によっては、使用中にバッテリー電圧が電源電圧をまたぐような設計になる場合があります。
しかしながら、昇降圧電源は回路が複雑で面倒です。

そういった場合は、反転型のスイッチングレギュレータを使うとシンプルな電源回路になることがあります。

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電池の数と出力電圧


バッテリ動作のマイコン電源に関するメモでは『理想的には』回路動作に必要なエネルギーから必要なバッテリーの本数が決まるが、『現実的には』他の要因にも影響を受けると書きました。

今回のエントリでは、電池の本数と出力電圧にかかわる問題について考えます。

一般的なアルカリ乾電池の公称電圧は1.5Vと言う事になっていますが、実際の初期電圧は1.6V程度あります。また(もはや入手できませんが)オキシライド乾電池は1.7Vもの初期電圧を持っており、これを使った懐中電灯の電球が切れてしまうというような問題もありました。

逆に、エネループなどのニッケル水素電池の公称電圧は1.2Vと低いですし、普通のアルカリ電池であっても消耗と共に端子電圧が下がってります。多くの乾電池で、終止電圧を1V程度と見積もるのが妥当なようです。


001_20110501044321.png

fig.1: エネループの放電量と端子電圧の関係


従って、バッテリ動作する回路の電源を設計する場合、電池1本あたりの電圧は1V程度から1.6V(あるいは1.7V)程度まで変化しても、電源電圧が変動しないようにする必要があります。
これが、複数本の直列となるとかなりの電圧差となります。


直列数終止電圧(V)アルカリ初期電圧(V)オキシ初期電圧(V)
11.01.61.7
22.03.23.4
33.04.85.1
4 4.06.46.8
5 5.088.5
table.1: 電池の直列数と初期・終止電圧


具体例として、4本の乾電池から5Vを作ることを考えます。
この場合、初期電圧付近では目標とする電圧よりも高い入力電圧を持ち、終止電圧近くでは出力電圧よりも入力電圧が低くなることになります。

反転型DCDCコンバータで正電源


入力電圧より高い出力電圧を得るためには、昇圧型のスイッチングレギュレータが必要になります。
逆に、入力電圧より低い出力電圧を得るにはこう圧型のスイッチングレギュレータや三端子レギュレータなどのリニアレギュレータを利用します。

では、入力電圧が出力電圧よりも高いときと低いのと気の両方で出力電圧を安定させるにはどのようにすればよいでしょうか?

常識的に考えれば、昇降圧型のスイッチングレギュレータを使うという回答になると思います。昇降圧コンバータの回路形式は、SEPICやZetaと呼ばれるものがあるらしいのですが、少し難しそうです。

また、まず昇圧をしてから、降圧をするという手段もありますが、これは実質的にDCDCコンバータをふたつ用意するということなので、手間がかかります。

そこで、今回は負電源三端子レギュレータを正電源用にするとドロップ分が負電源になると似たような発想の転換から、反転型スイッチングレギュレータの負電圧出力を正電源として使うことを考えて見ます。


002_20110501044330.png
fig.2: 負電源を正電源と考える


上に示したfig.2がこの考え方の全てです。
バッテリーのマイナス電極をGNDと考えると反転コンバータの出力が-5Vとなりますが、反転コンバータの出力を0Vと考えれば、バッテリーのマイナス極が+5Vという事になります。

もちろんこの方法には問題がある場合もあるでしょう。

  • 同じバッテリーからOPアンプ用の±12Vをつくりたい
  • 入力電圧は他の危機から供給されている


等の原因で、電池のマイナス側をGND電位としなければならないときには使えません。
しかし、そういった適用の限界を理解していれば応用範囲はたくさんあるのでは無いかと思います。

制御ICの入手性とSPICEモデル


秋葉原でのスイッチングレギュレータ制御ICの入手には、鈴商が安くて種類も豊富なようです。また、千石電商もそこそこの品揃えがあるようですし、値段を気にしなければマルツもありでしょう。

今回の例ではNJM2360が便利です。
NJM2360はオンセミコンダクタのMC34063のセカンドソースで、入手性もよいため、少なくともどちらかは秋葉原で購入できると思います。
また、100円ショップの315円携帯充電器を分解すると中に入っていることがあるようです。

NJM2360には、他にもメリットがあります。

一つ目は、新日本無線が出しているICなので日本語のデータシートがダウンロードできるという点です。

また、オンセミコンダクタがmc34063.libを公開しているのでSPICEシミュレーションを行うことが出来ます。

神木一也さんのLTspice メモのMC34063の項目にあるシンボルファイルとあわせてLTspiecでも使うことが出来ます。


003_20110501044321.png
004_20110501044321.png

fig.3-4: NJM2360(MC34063)のシミュレーション


関連エントリ




参考URL




付録


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LTspiceでトランス式チョッパアンプ

はじめてのトランジスタ回路設計で紹介されている個別半導体とトランスを組み合わせたチョッパアンプのシミュレーションをLTspiceを用いて行いました。

001_20110416083655.png 002_20110416083655.png


直流信号を交流変調してから増幅、復調すると増幅器の直流オフセットの影響をキャンセルすることが出来ます。汎用OPアンプをチョッピングで高精度化では、入力オフセット電圧の小さくない単電源OPアンプとマイコンを組み合わせることにより、微小直流信号を高精度にA/D変換するシミュレーションを行いました。

はじめてのトランジスタ回路設計には、個別半導体とサンスイのトランス2つ(ST-23,ST-71)を組み合わせたチョッパアンプの回路図とSPICE用のネットリストが載っています。

今回のエントリでは、このネットリストを読み取りLTspiceでシミュレーションを行いました。

モデルパラメータ


トランスの等価回路図は、はじめてのトランジスタ回路設計の値をそのまま用いました。
LTspiceでトランスを表現するためには、インダクタを2つ組み合わせて利用します。
コイルの結合係数はSPICE directiveで指定します。結合係数が正しく設定されると、回路図上のインダクタのシンボルにまき線方向を示す"○"印が付くはずです。(ただし、トランスではない普通のコイルにもまき線方向を示す"○"印をつける設定にすることも出来ます。)トランスのシミュレーションのサンプルは、LTspiceに標準で付属しています。LTspiceをインストールしたフォルダの中の/examples/Educationalフォルダの中を見てください。(Transformer.asc と Transformer2.asc)

JFETのモデルパラメータもオリジナルのネットリストと変更していません。
2SA1015を2石つかって構成した交流増幅回路は、はじめてのトランジスタ回路設計では、(計算時間短縮のため)OPアンプのモデルを使って簡素化してありましたが、(いまのPCの性能なら計算能力に関しては全く問題が無いと思われるので)回路図そのままをシミュレーションしました。2SA1015のモデルの代わりに2N3906のモデルを利用しました。(参考:LTspiceの標準デバイスでまにあわせる)

シミュレーション結果


以下にシミュレーション結果を示します。


001_20110416083655.png
fig.1: トランス式チョッパアンプのスケマティック

002_20110416083655.png
fig.2: 過渡解析結果


LTspiceによるシミュレーション結果は、(当然ながら)はじめてのトランジスタ回路設計で行われているシミュレーション結果と(ほぼ)同じ挙動となりました。

関連エントリ




付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


参考文献/使用機器




はじめてのトランジスタ回路設計は絶版ということですが、CD-R版が購入できるようです。(Simさん情報ありがとうございます。)

また、同じ黒田徹著の実験で学ぶトランジスタ・アンプの設計―1~11石の増幅回路を組み立てながら… (Analogue Master Series)トランジスタ技術 2006年 7月号の特集記事をもとに再編集したものということですが、実質的にはじめてのトランジスタ回路設計の後継本です。トラ技の連載と内容が大きく変わっていないならば、シミュレーションだけではなく、パソコンを計測器として実回路の特性を測定する方法にも触れているはずです。
その代わり、おそらく本エントリでシミュレーションしたトランス式チョッパアンプの回路は載っていないと思います・・・。

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実用電源回路設計ハンドブック ほか

東日本大震災による福島の原発事故に関連して、趣味の電子工作業界では、自作ガイガーカウンターに注目が集まっています。

また、今後の電力不足にそなえて、無停電電源装置(UPS)の存在が話題に上がることも多くなったように感じます。

思い立ったが吉日ということで、以前からチェックしていた戸川 治朗著実用電源回路設計ハンドブック ハードウェア・デザイン・シリーズを購入しました。どうせ私は作りはしないのですが・・・

第7章に無停電電源装置の設計法が解説されています。




UPSについて


実のところ、個人レベルで購入できるパソコン用のUPSは、不意の電源時にPCを安全にシャットダウンするための時間を稼ぐといった程度の使用を想定しているので、停電時にバリバリPCを動かす用途には使えません。

もしも、不意の停電ではなく、計画停電に備えるという意味でなら、あらかじめPCをシャットダウンしておけばよいだけなので、UPSは必要ないと思います。
不意の停電対策としては、ありうるかもしれませんが。

実を言うと、以前、使っていたものが最近壊れたため、新しいのを購入しようと思っていたところでの地震でした。
今購入すると、計画停電対策みたいに見えてちょっと嫌な感じなのですが、仕方ないのかもしれません。

個人利用でならテーブルタップ型が使い易かったです。



電源回路は、基礎にして奥義


(計画)停電の話題はさて置くとしても、電子工作において、電源回路の設計は、避けて通れないものです。マイコン入門の課題としてよく用いられるLED点滅だけでも、電源は絶対に必要です。

そんなわけで、電源回路の設計は電子工作の基礎の一角を担っているわけですが、その実、電子回路設計の中でもとりわけ奥が深いものでもあります。

私は、以前からスイッチング動作を含むアナログ回路が、趣味の電子工作の技術面においては一番面白いのではないかと考えてきましたが、そういう意味でもスイッチング電源は最高峰だと思います。

スイッチング回路設計をしたことのある友人から、改訂 スイッチング・レギュレータ設計ノウハウ―すべての疑問に応えた電源設計 現場技術者実戦シリーズが良書であると薦めてもらったのですが、積読状態です。

また、トランジスタ技術の連載をまとめた電源回路設計 成功のかぎ―要求仕様どおりの電源を短時間で設計できる (アナログ・デザイン・シリーズ)が出版されて既に結構たっていますが、私はまだ購入してません。これも良書だと聞いています。




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