LTspiceで直流解析(DC解析)

アマチュア電子工作でLTspiceを使う場合、「過渡解析(Tran解析)」「直流解析(DC解析)」「交流小信号解析(AC解析)」の3種類のシミュレーションが最もよく使われます。

今回取り上げる直流解析(DC解析)は、電圧や電流をゆっくり変化させたときの回路の挙動を調べるものです。
直感的に言えば、横軸に電圧や電流をとったグラフを書くのが直流解析だと考えればだいたいあってます。現実の回路で言うなら、DC電源とデジタルマルチメータを使う類の計測です。

具体的には、

などのシミュレーションができます。

このエントリの前半は、LTspiceを始めたばかりの初心者の方向けに、直流解析とはどういったものかを解説します。
後半では、すでにある程度LTspiceの直流解析を使ったことがある経験者の方向けに、単純な直流解析ではアプローチできない回路へのヒントとなる(かもしれない)エントリの紹介をしていきます。


基本的な分圧回路のシミュレーション


最初に、回路シミュレータを使うまでも無いような分圧回路についてのシミュレーションを行います。


001_20120513011214.png
fig.1: 分圧回路


fig.1の回路の入力に電圧をかけると、二分の一に分圧された電圧が出力されることが予想され、シミュレーションでも確かにそのようになります。(fig.2)


002_20120513011214.png
fig.2: 分圧された結果


LTspiceでのシミュレーションが初めての方は、まずLTspiceクイック・スタートを実際にやってみてLTspiceの使い方に慣れてください。今回の例では、解析の種類の選択・設定の部分でEdit Simulation CommandウインドウでDC seepを選択します。fig.3は、変化させる電圧源としてV1を指定、電圧を0Vから1Vまで1mVずつ変化させていく設定とした場合です。


003_20120513011214.png
fig.3: 直流解析の設定


『ゆっくり変化させる』とは?


ここまででは、直流解析は電流や電圧をゆっくり変化させる事だと書いてきました。
ゆっくり変化させるというのは、ざっくりと言ってしまうと
  • コンデンサは開放
  • コイルは短絡
として扱う、ということです。

コンデンサには、直流は流れません。また、コイルは直流に対してはただの導線です。
実際にfig.4の様に、分圧回路の出力に10μFのコンデンサを接続した回路のシミュレーションをしてみると、その結果は、コンデンサを接続していないときの結果(fig.2)とまったく同じになることがわかります。


004_20120513011214.png
fig.4: 分圧回路に10μFのコンデンサを追加した回路


一方で、この回路を過渡解析してみると、コンデンサの影響が確認できます。


005_20120513011214.png006_20120513011213.png
fig.5-6: コンデンサを付加した分圧回路の過渡解析


直流解析の結果のように、出力電圧が入力電圧だけで決まるなら出力電圧V(out)は、緑の線で示したようなV(in)/2となるはずですが、シミュレーション結果は、赤の線で示したようになまった波形になります。

従って、過渡解析ではコイル・コンデンサは回路図に書く意味が無い事がわかります。
逆に、コイル・コンデンサの効果をシミュレーションする場合は、直流解析は使えないと言うこともできます。この場合は、過渡解析(tran解析)や小信号交流解析(AC解析)を利用します。

シミュレーションの実例


直流解析の応用例として、ねがてぃぶろぐで以前行ったシミュレーションをいくつか紹介します。

半導体の直流特性


PDS5022Sでカーブトレーサ電気用語は難しい(オームの法則)では、汎用シリコンダイオードの電圧-電流特性のシミュレーションをしました。
以下は、電気用語は難しい(オームの法則)のものです。

002_20100306113832.png

003_20100306113832.png
fig.7-8:ダイオードのシミュレーション


順電圧(横軸)に応じて、順電流やダイオードの抵抗値が非線形に変化していることが読み取れます。(参考:1N4148のデータシート(PDF))

アナログICの直流特性


PICの電源電圧低下でLED点灯しきい値付近で線形増幅器になるコンパレータOPアンプの同相入力電圧範囲とバイアスでは、コンパレータやOPアンプの直流特性についてシミュレーションをしました。
以下は、PICの電源電圧低下でLED点灯で行ったシミュレーションで、電源電圧が低下するとコンパレータの出力がHとなる回路です。

001_20110127235631.png
002_20110127235630.png
fig.9-10: 電源電圧低下の検出回路


fig.10の上のパネルがコンパレータの出力で、電源電圧が2.2Vを下回ると出力がHになるコンパレータ動作をしています。

直流解析(DC解析)できない回路


ここからは、一見すると直流解析でシミュレーションできそうな回路でありながら、直流解析ではうまくいかない回路を一工夫してシミュレーションする方法を紹介します。そのエッセンスは、過渡解析を使うことです。

ヒステリシスコンパレータ


直流解析を利用しない直流解析のひとつ目の例が、時間的に直前の状態を参照するヒステリシスコンパレータ(シュミットトリガ回路)です。
解析の設定のときにDC sweepStart ValueStop Valueの値を逆にすれば、2つのしきい値の値を別々に調べることはできます。しかしながら、2つのしきい値を同時に一つのグラフにプロットすることはできません。

過渡解析においても、横軸を任意のノード(回路図上の好きな場所)の電圧を横軸にとったグラフを書くことができます。(LTspiceのグラフの横軸を変更する)
これを利用して、ひとつのグラフに2つのしきい値を同時に描くことを考えます。


011_20120513011445.png
fig.11: ヒステリシスコンパレータ


まずfig.11の様に、解析したいヒステリシスコンパレータのスケマティックを作成します。このとき、変化させる入力電圧の部分にゆっくり電圧が上昇して、その後、ゆっくり電圧が下降するような信号源を接続します。今回の例では電圧源をPULSEとして使用して、0Vから1秒かけて5Vまで上昇し、その後、1秒かけて0Vまで戻る信号源としました。


012_20120513011444.png
fig.12: 通常の過渡解析の結果


この過渡解析の結果がfig.12です。この段階では、横軸は時間です。
この横軸の時間の部分をクリックすると、fig.13の様なウインドウが立ち上がります。


013_20120513011444.png

014_20120513011444.png

fig.13-14: 横軸のtime(時間)をV(in)(入力電圧)に書き換える


立ち上がったウインドウのQuantity Plottedの部分にかかれたtimeを、横軸にとりたいもの、今回はV(in)に書き換えると(fig.14)、希望したヒステリシス曲線を表示することができます。(fig.15)


015_20120513011444.png
fig.15: ヒステリシス曲線


なんとなく難しいことをやったような印象があるかもしれませんが、実のところ、ゆっくりと変化させるを過渡解析で行っただけです。従って注意点は、その回路にとって充分ゆっくり電圧を変化させることです。

ねがてぃぶろぐでは、シュミットトリガ回路に関するエントリがたくさんあります。



スイッチングを含む回路


スイッチングを含む回路でも直流解析のようなことを行いたい場合があります。
たとえばスイッチングレギュレータのロードレギュレーション等です。

ねがてぃぶろぐでは、チャージポンプ型電源のロードレギュレーションや効率(LTspiceでチャージポンプ負電源)、チョッパアンプの直流特性(汎用OPアンプをチョッピングで高精度化)のシミュレーションを行いました。

これらの場合も、重要な点は過渡解析を使うことですが、シュミットトリガ回路の場合ほど単純ではなく、さらに一捻りとして.measコマンド.stepコマンドを利用します。

以下に示すのは、LTspiceでチャージポンプ負電源にて行った出力電圧-電力変換効率のシミュレーション結果です。


004_20110128034323.png
fig.16: 変換効率のシミュレーション用スケマティック

005_20110128034301.png
fig.17: 出力電流に対する変換効率(%)


.measコマンド.stepコマンドの組み合わせはLTspiceで.meas(実効値,積分値など)にて解説しています。
この組み合わせのシミュレーションは、詰まるところ、スイッチングを含む回路の過渡解析を、条件を変えながら複数回行っているというものです。
スイッチング回路のシミュレーションは、時間がかかります。それをさらに複数回繰り返すということは、それ相応の時間がかかるということがこの方法の欠点です。したがって、ステップの刻み幅などはよく考える必要があります。

関連エントリ




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付録


このエントリで使用したLTspiceのシミュレーション用ファイルを添付します。ファイル名末尾の".txt"を削除して、"_"を"."に変更すれば使えるはずです。(参考:ねがてぃぶろぐの付録)


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tag : LTspice 直流解析 スイッチング回路

LTspiceで演算増幅回路

以下(fig.1)に示すような回路があるとします。


001_20120204024428.png
Fig.1: V1の電圧が0Vのとき、outの電圧は何ボルトでしょう?


R1は1Ωで1Aの電流が流れています。
V1における電圧は0Vでした。outにおける電圧は何ボルトでしょうか?

答えは1Vで、単純にオームの法則から求めることができます。

V = R * I = 1Ω * 1A = 1V

です。


反転増幅回路


これと同じ状況は、OPアンプ回路でよく見ます。
OPアンプは、負帰還をかけて、反転入力端子と非反転入力端子が同電位となる様にして使われるからです。(ヴァーチャルショートあるいは仮想短絡などと呼ばれます。)
Fig.2-3は、こういった場合の少し現実的な回路です。


002_20120204024428.png

003_20120204024428.png
fig.2-3: V1の電位はGNDと同電位だとわかる


抵抗値や電流・電圧を計算しやすい値にしていましたが、肝心なのは比率だけなので、実際の回路設計で使いやすい値に変更しても同じことです。(Fig.4-5)


004_20120204024427.png

005_20120204024427.pngfig.4-5: より現実的な回路定数として、R1を10kΩにI1を100uAに変更


これを90度回転させると、よく見慣れた反転増幅回路となります。(fig.6-7)


006_20120204024427.png

007_20120204024508.pngfig.6-7: 一般的な反転増幅回路


もう少し複雑な回路:加算回路, 対数増幅回路


こういった考え方は、『一見すると複雑な回路』の動作を考えるときに役に立つかもしれません。

たとえば、先ほどの反転増幅回路において電流源の数を増やせば加算回路になります。


008_20120204024507.png

009_20120204024815.pngfig.8-9:加算回路


また、R1の代わりに抵抗以外の素子を入れると、その素子の特性を反映した増幅回路になります。
一例として、ダイオードを入れた回路を紹介します。


010_20120204024507.png

011_20120204024506.pngfig.10-11:素朴なログアンプ


ダイオードの電流-電圧特性は、指数(対数)関数的です。
したがって、増幅回路も線形ではなく指数(対数)的なものになります。

『一見すると複雑な回路』もヴァーチャルショートを仮定すると、挙動が追いかけやすくなります。
ただし、OPアンプ素子そのものは、負帰還をかけた増幅回路としても、負帰還をかけないコンパレータとしても使われることがあるので、注意が必要です。(その両方のようなトリッキーな回路にも需要があるようです:しきい値付近で線形増幅器になるコンパレータ)

補足:ログアンプの温度特性


fig.10に示した素朴なログアンプは、通常、実用的ではありません。その原因は、帰還素子として利用するダイオードの温度特性が極端であるからです。

前述の素朴なログアンプを、LTspiceで温度解析したものがfig.12-13です。20℃から50℃まで温度変化が出力に与える影響は、入力電圧に換算すると最大で一桁程度の変化に相当します。


012_20120204024506.png

013_20120204024524.pngfig.12-13:素朴なログアンプの温度解析(20-50℃)


よほど限られた用途以外では、これだけ大きな変動は許容されないはずです。そのため、ログアンプは温度補償を必要とします。温度補償の詳しい解説は、岡村 廸夫著 定本 OPアンプ回路の設計等に書いてあります。

関連エントリ




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tag : LTspice OPアンプ

OPアンプのバイアス電流と高抵抗

一般的に、OPアンプ回路に使う抵抗は1k-100kΩ程度が良いとされています。しかしながら、ほとんどの使い方では、メガオーム以上の抵抗を使うことがないので、高抵抗を使うとどうなるのかを実感することは、多くありません。
今回は、低周波数のフィルタ回路を作る際に、OPアンプの入力バイアス電流の大きさと抵抗値の関係性が問題になった例を紹介します。

001_20120128192250.png 002_20120128192249.png 003_20120128192249.png 004_20120128192248.png


カットオフ周波数100mHzのハイパスフィルタ


趣味の電子工作で作るフィルタの帯域は、可聴域であることがほとんどで、広帯域のフィルタと言われると、高い周波数まで性能がよいフィルタということになります。

しかし、今回は、それとは逆の話で、低周波数の交流フィルタ回路の話を紹介します。
地惑実験(電子回路)のときの話です。
(厳密に言うと、回路設計や対処をしたのは私が休んだ日の話なので、私がやったのは、後日行った原因解明です。)

地震の研究は、地球惑星科学の中でも王道のひとつです。地震による建物の固有周波数は、およそ数Hz程度です。
地球惑星科学科の電子回路実習では、実験室がある建物の固有周波数が計測できれば面白いということで、秋月電子通商の3軸加速度センサをデータロガーに接続して、計測を行いました。

秋月の加速度センサは、単電源動作をさせるため、出力電圧にVcc/2のバイアスがかかっています。しかしながら、これでは、信号を増幅する際うっとおしいので、交流結合して直流分をカットしてしまおうと思いました。ただし、計測したい信号周波数が低いため、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を低くしなければなりません、そんなわけで設計した100mHzのハイパスフィルタがfig.1-2です。


001_20120128192250.png
002_20120128192249.png

fig.1-2: カットオフ周波数100mHzのハイパスフィルタ


しかしながら、この回路を実際に組んでみると、期待通り動作する学生と、無信号時でも出力に数百mV程度のオフセット電圧が乗ってしまう学生とが出てきました。
それぞれの回路を比べると、どうやらOPアンプにuA741を選択した学生の回路ではオフセット電圧が発生し、TL071を選択した学生にはオフセットが現れないということでした。

原因はOPアンプのバイアス電流


uA741は、バイポーラトランジスタ入力のOPアンプです。これに対して、TL071はJFET入力のOPアンプです。
これらの構成上の違いは、OPアンプの入力インピーダンスに現れます。

uA741の入力バイアス電流の標準値は80nAで、TL071の65pAと比較すると3桁以上悪い値です。
バイアス電流の影響をモデル化するためにfig.1の回路の非反転入力端子に電流源I1を接続し、出力にあらわれるオフセット電圧のシミュレーションを行いました。


003_20120128192249.png
004_20120128192248.png

fig.3-4: 入力バイアス電流が出力のオフセットに与える影響


シミュレーション結果fig.4から明らかなように、バイアス電流10nAあたり100mVのオフセット電圧が発生しています。これは、数十nAのバイアス電流を持つuA741を使った学生の回路で数百mVのオフセットが見られたことを定量的に説明できます。

電流源I1の電流はR2に流れることにより電位差を発生させます。この電圧が出力のオフセット電圧の原因です。したがって、(C2を大きくできる、カットオフ周波数がより高いなどの理由で)R2の値が小さければ出力のオフセットはより小さくなることになります。

高抵抗・高容量を必要とする回路


一般論として、OPアンプの帰還抵抗や入力抵抗に利用する抵抗の値は1k-100kΩ程度が良いと言われています。
可聴域のフィルタを作っている限りは、メガオームを超える抵抗を扱うことはほとんどないので、抵抗値が高すぎることに頭を悩ますことは稀でした。

フィルタ回路だけでなく、発振回路の場合も、低周波数を実現するためには高抵抗・高容量の素子が必要になります。
高容量かつ高精度のコンデンサは高価なので、結果的に高抵抗を使うことを選ばざるを得ないことはあると思います。
今回の問題の本質は、uA741がTL071よりも劣っていたというよりは、高抵抗を使うような設計に対して無神経であったところにあると思います。

関連エントリ




付録


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tag : LTspice OPアンプ

地惑実験(電子回路)のTAをして思ったこと

電子工作が初めての人にとって、一番多いトラブルは、電源の接続ミス、二番目が接触不良だと思いました。
製作した回路が一発で動作することは、稀なので、脱初心者のキモは、問題発見の方法を身につけること:より具体的にいうなら、テスタの使い方を覚えることだと思います。




地球惑星科学科の電子回路


東京工業大学地球惑星科学科でも電子回路の授業があります。

といっても、電気・電子工学科などの専門的なものではなく、研究室所属したときに使うことになる計測器の中身がどうなっているのか、まったく知らずに触るよりは、いいだろうといった程度の目標で、受講する学生も、今まで一度も電子回路工作などしたことがない人たちばかりです。授業の回数も少なく、本当にさわりだけです。

具体的な、授業の内容は、ブレッドボードに実際の回路を組み上げてみて、動作を確認するというものです。
年度によってまちまちですが
  • 74HC標準ロジックの基礎
  • OPアンプの基礎
  • センサの基礎

をやっています。

私は、この1年間この授業のティーチングアシスタント(TA)をしていました。
その感想としては、やはり、初めてブレッドボードを触る人のトラブルのほとんどは、電源の接続ミスで、次が接触不良であるのだなということです。
これは、以前書いた初心者向けテスターの選び方の主張とも重なりますが、テスターの導通チェッカ機能と電圧測定機能の2つが使いこなせる様になれば、電子工作入門はクリアだということも(逆に考えれば)できると思います。

以降、TAをしていて感じた事を列挙していきます。
電子工作初心者の方にとっては、役に立つことがあるかもしれませんし、ないかもしれません。

回路の接続確認


「すみません。ぜんぜん動かないんですけど・・・」

と、いうときのほとんどは電源の接続ミスでした。
電子工作に慣れている人なら、当然のことですが、回路が動作しないときに各素子の電源端子電圧を測ってみることは問題可決の最初の一歩です。

電源以外の接続ミスも、比較すると頻度は低いながらも、よくあります。導通チェッカを使えば、対処できます。

往々にして思ったことは、抵抗やコンデンサのリードがグニャグニャに曲がってしまっている人が多いということです。
ブレッドボードに刺すときに、真っ直ぐに刺せずにリードが曲がってしまうのだと思うのですが、こういった場合は、ラジオペンチで真っ直ぐに伸ばしたほうがいいです。
また、真っ直ぐなリードを曲げるときも、ラジオペンチを使って丁寧に曲げたほうがうまくいきます。

配線をするときには「丁寧で綺麗に」作るほうが、総じて早く終わります。ミスが少なくなるというのがひとつの理由で、仮にミスがあったとしても発見しやすくなるのがもうひとつの理由です。

設計ミスの確認


授業では、フィルタ回路の設計も行いました。
受講生には、各々の目標とするカットオフ周波数になるように回路定数を計算してもらうのですが、当然計算ミスをすることもあります。

ブログの読者の方は、授業を受ける学生ではないので、実際に回路を作る前に回路シミュレータで動作確認をしておくことで、計算ミスによって間違った回路を作ってしまうことを回避することができます。(参考:LTspiceクイック・スタート, LTspiceの使い方)

部品の選定ミス


設計が正しくても、抵抗値や容量値が設定と違う値のものを選んでしまうこともありました。
カラーコードやコンデンサにプリントしてある数字の読み方に自信があったとしても、配線の前に一通りテスタで値をチェックしておくのはよいことだと思います。

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tag : LTspice テスタ

無線感度の悪いTM-400の代替トラックボール

以前のエントリで購入報告をしたLOGICOOL トラックマン ワイヤレストラックボール TM-400は、無線の受信感度が悪くストレスがたまったので、代わりとしてケンジントン SlimBlade Trackball 72327JPを購入し、非常に満足しています。

今回のエントリでは、トラックボール購入に際して検討した事柄についてまとめました。結論として、評価が高そうだったのは以下の4つです。




無線感度に問題のある Logicool TM-400


私は以前トラックボール選択失敗で書いたとおり、LOGICOOL トラックマン ワイヤレストラックボール カスタマイズボタン搭載 TM-400を購入し使っていました。



エントリを書いた段階では、ホイールの位置が気に入らずイマイチと言う評価を書いていましたが、その後、ホイールの位置はあまり気にならなくなりました。
しかしながら、ホイールの位置よりもはるかに問題となる点が明らかになってきました。

それは、無線の受信感度の悪さです。

下記に紹介するニコニコ動画のように、無線受信機(PC接続側)を改造することによって、電波の感度を向上させることが出来るようです。しかしながら、私もやってみたのですが、受信感度は、ほとんど改善されませんでした。



おそらく個体差の問題もあるのだと思います。私の個体を触った感触では、受信機(PC接続側)ではなく、トラックボール本体側にも接触不良などの何らかの問題があるのではないかという気がしました。

TM-400の代替機の検討


そこで、TM-400の代替機を検討することにしました。
出発点は寿々郎さんの下記のつぶやきです。

親指で操作は難しいので、私は球が大きいこのトラックボールを愛用しています。http://www.nanayojapan.co.jp/products/tball/64325.html RT: @gomisai: 見た目の奇抜さに引かれてトラックボールを買ったら【 大 失 敗 】


また、おなじケンジントンのトラックボールのシリーズに、新型のSlimBlade Trackballが出ていることも知りました。



SlimBlade Trackballの紹介ページには、宣伝用の動画があるあたり、ケンジントンにとって気合の入った製品だと言うことが分かります。(ケンジントンの他の製品には宣伝用の動画は無いようです。)



しかしながら、SlimBlade Trackball(略称SBT)の明らかな問題点は、お値段が高いことです。購入してから、地雷だったとなった場合のショックが大きいです。
こういうときには、その筋の人たちに使い心地を聞いてみるのが、一番です。
そこで、2ちゃんねるのハードウエア板にあるトラックボール コロコロ(((○ Part82(過去ログ)スレッドで質問をさせていただきました。

345 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 21:41:10.50 ID:kOCVy1Bn
TM-400の代替について相談させてください。
以下のような条件の物を探しています。

・人差し指トラックボール
・有線接続(あるいは充分感度のよい無線)
・ホイールに類する機能(ソフトではなくハードで持ってるもの)

数ヶ月前、初めてのトラックボールとしてロジクールのTM-400を購入しました。
機能自体は満足なのですが、無線の感度の悪さに耐えられません。
TM-400の有線式モデルがあればそれで解決なのですが・・・

今考えている候補は、ケンジントンのEM7SBTなのですが、TM-400の代替としてどうでしょうか?
また、他によい候補があれば教えてください。

よろしくお願いします。


結果をまとめると、およそ以下のようなものでした。



答えてくださった皆様、また、スレッドを読んで考えてくださった皆様、ありがとうございました。

346 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 21:46:17.39 ID:RXytQPDk
>>345
1.受信機の改造をしてロジの次世代機を待つ
2.オークションでTBEQ-BALLの中古を買う
3.SBT570を買う



347 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 22:08:18.49 ID:C80EXQWw
4.サンワストリームを買う
348 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 22:10:16.93 ID:J7jkxCG9
>>345
受信機を立てて、面がトラボ側に向くように設置する。
それでも不満なら改造しかないね。
349 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 22:12:05.16 ID:WnWX2M4C
>>345
ケンジントンだがOrbitTrackball はどうよ?
親指ダメで極端な大玉も疲れる身としてはTM-400の代わりになんとかなってる。



350 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 22:15:23.38 ID:RXytQPDk
>>349
スイッチが2個ってのとホイールの位置と構造がOKなら それもチョイスですね
351 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 22:19:23.42 ID:WnWX2M4C
>>350
まあホイールの出来がちょっと微妙なのと質感の安っぽささえ何とかなれば
・・・質感に関しては570もそうだがもうちょっとどうにかならなかったのかなぁ、と
352 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 22:44:32.27 ID:Qq2UNkpa
>>345
>>346の1,3だな
保証が無くなるけど受信機改造がコスト一番低い。次点でM570
SBTは1.05の旧ロットつかんだら絶望。



353 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 23:06:12.18 ID:kOCVy1Bn
>>346-352
みなさん、ありがとうございます。
こんなにたくさんのレスが頂けるとは思いませんでした。

>>346 >>348 >>352
> 受信機の改造
実は、改造は既に行っています。受信機の位置取りも色々検討しました。
確かに受信距離は伸びたのですが、私の環境ではまだ不安定な感じでした。

>>346
> 中古
MSのTBEは見るからに理想的な感じですね・・・
ただ、1個買ってみて良さそうなら、職場にももう1個と思っているので新品で入手できるのが望ましいです。

>>347
サンワは盲点でした。
サンワどうも安っぽいイメージがあるのですが、トラックボールに関してはどうなのでしょうか?私の偏見?

>>349
OrbitTrackballはなかなか良さそうですね。
>>1Trackball Fan!のレビューに無かったので気がつきませんでした。
複数個購入を考えているので、値段が安いのも嬉しいですね。

>>346 >>352
> M570
親指トラックボールは今回は避けておこうと思います。
354 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 23:13:01.68 ID:C80EXQWw
>>353
あっ、サンワストリームは冗談だよw

改造すればなんとかなるらしいけど素では地雷扱いされるほどクソです
356 名前:不明なデバイスさん[sage]:2011/09/04(日) 23:55:44.31 ID:Qq2UNkpa
サンワのMA-TB38忘れてた。
ボタンパコパコ&支持球が・・・とか色々言い出したら沢山有るけど、それは他のも全部に言えるからね。
アウトレットで安ければ買いかと。



関連エントリ



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ダイヤモンド号で行く地底旅行

電子工作ブログであるねがてぃぶろぐの読者の方々には、興味のある方は少ないかもしれませんが、地球深部の物理・化学について、一般の方にも比較的分かり易く書かれている入舩徹男著ダイヤモンド号で行く地底旅行を紹介します。




フロンティアと探査機


探査機はやぶさが、小惑星イトカワから、その表面のサンプルを持ち帰った事は記憶に新しいと思います。こういったニュースを聞くと、人類の科学技術の進歩により、地球以外の惑星でさえも人類にとって、いずれ到達することの出来るフロンティアとなるだろうと感じます。

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小惑星イトカワに着地する「はやぶさ」(想像図) (c) 池下 章裕
JAXAのウエブページより


一方で、人類未踏の領域があるのは、なにも地球の外だけではありません。
それは、地球の深部です。
宇宙開発と比べると、いささか地味に感じられるかもしれませんが、地球の内部は、宇宙以上に良く分かっていない場所です。

岡山大学理学部地球惑星科学科のウエブページには、高校生向けの研究紹介として地球の内部構造の図が掲載されています。



岡山大学の描いた地球の内部構造図では、地球内部で起きている色々な現象が表現されています。実は、小惑星イトカワに向かって探査機『はやぶさ』を送り出したのと同様に、地球内部を調べるための探査船『ちきゅう』を使って、海の底から穴を掘って調べようと言うプロジェクトが存在します。

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地球深部探査船『ちきゅう』の写真。真ん中に建っている鉄塔からドリルを降下させて海の底をゴリゴリと掘り進んでいく。JAMSTECのウエブページより


陸ではなく、わざわざ海の底を掘るのは、一般的に、海洋地殻(岡山大の図で、水色で示したのが海、その下の茶色の部分)の方が大陸地殻(緑の部分)よりも薄く、上部マントル(薄黄色の部分)まで到達するために、掘らなければいけない量が少なくて済むからです。
しかしながら、2011年10月16日現在において、上部マントルまで穴を掘った人はいません。

ダイヤモンド号で行く地底旅行


したがって、地球内部の構造は、観測事実(地震波、磁場、地表で取れる岩石の化学組成、隕石の化学組成など)と実験や計算の比較を行うことから得られた推定です。

ダイヤモンド号で行く地底旅行は、こういった最新の研究を、あたかもダイヤモンドで出来た探査船に乗って見てきたかのように解説している本です。

岡山大学の地球断面図のコールドプリュームと書かれた部分に注目すると、(茶色で示した)海洋地殻物質が(薄い黄色の)上部マントルや(濃い黄色の)下部マントルの中まで沈み込んでいることが分かります。
『ダイヤモンド号』の旅は、この下降流(コールドプリューム)に乗って地球の深部まで進み、図の反対側に書いてある上昇流(ホットプリューム)に乗って帰ってくると言う旅程を進みます。

ダイヤモンド号で行く地底旅行は、専門書と大衆向けレーベルの中間ぐらいの難易度ですが、ダイヤモンド号からの『眺め』などは、とても詩的な表現がなされていて楽しい本です。

章構成は、下記の通りです。

  1. 未知への旅に出よう!
  2. 地球内部の運動と構造
  3. 沈み込むプレートに乗って
  4. 上部マントルの物質学
  5. 横たわるプレート
  6. 下部マントルをゆく
  7. 中心核へ
  8. 上昇するプリューム
  9. 帰還


地球科学カテゴリに関して


Twitterのプロフィールにもあるとおり私は電子工作が趣味の大学院生です。専攻は地球惑星科学と言うことになっています。

電子工作ブログに、地球惑星科学の話題もどうかと思いますが、最近は電子工作に割く時間も少なくなってきたし、科学・技術に興味がある方にとっては、地球科学も面白いはずだと信じてカテゴリ新設となりました。

実際のところ、高校地学は暗記教科の様相を呈していてあまり面白くありませんが、一方で、研究として行う地球科学は面白い学問だと思っています。
逆に、高校の物理・化学・生物学が面白いと感じた人は、生粋の物理・化学・生物学よりも地球科学のほうが専攻する学問として楽しめるのではないかとさえ感じます。

まあ、大抵の学問は何でも面白いのですが!

今回は、地球科学カテゴリのエントリの最初のものとして、私の研究分野で有名な愛媛大学の入舩徹男先生の本を紹介することにしました。

参考URL




参考文献/使用機器




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